検証・学歴の効用

2014年12月26日

検証・学歴の効用

『検証・学歴の効用』

著者:濱中 淳子
単行本: 256ページ
出版社: 勁草書房 (2013/6/20)
言語: 日本語
ISBN-10: 4326653817
ISBN-13: 978-4326653812
発売日: 2013/6/20
商品パッケージの寸法: 19.2 x 13.8 x 1.6 cm

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■内容(Amazonより)

学生の学力低下を問題視するあまり、世論の大勢が教育過剰論へと傾いている。

しかし、大学は本当に多すぎるといえるのか。

もはや学歴に意味はないのか。


詳細なデータ分析から、大卒のみならず、専門学校卒や院卒といった学歴の効用
を明らかにし、学歴に対するまなざしを歪ませた背景にまで迫る。

現状に警鐘を鳴らす学歴社会論、誕生!

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■つぶやき

「学歴」と聞くと、条件反射的に否定的な感情を抱く方は少なくないの
かもしれません。入学・卒業した学校で一人の人間の人生がある程度
決まってしまう、そんなことはないと声を張り上げる方もいるでしょう。

そんな世論で始まったのがまだ記憶に新しい「ゆとり教育」。

そしてその結果学生の学力低下を招いてしまいます。
その後は教育方針が見直されていきますが、その頃から私の
感覚的にも学歴依存の雰囲気は一気に薄らいでいったように
思います。

実際に本書の中のアンケートでも学歴信仰の希薄化は顕著だ
という結果が出ています。

それではそんな風潮の中で、実際に学歴による効用は薄らいできて
いるのか?

教育の専門家である著者の研究によるとむしろ以前よりも
学歴による効用はより大きな影響を及ぼしているとの結果
になるようです。

本書では数字的に分かりやすいように、学歴の効用を経済的な
指標、つまり年収でまとめていますが、高学歴であるほど年収が
多いと結論づけます。

まあ、賛否両論あるでしょう。

しかし個人の感情が入り混り、変なバイアスがかかった
結論に比べれば、それなりに専門的な手法で導き出した
結果はある程度信頼してもいいのだと思います。

本書は大卒と高卒、大学院卒は収入に影響を及ぼすのか、など
6つのテーマについて検証していますが、私としては「大卒と読書」
というテーマに非常に興味をそそられました。

大卒は自分自身で勉強し、自己成長していく傾向があり、それが
社会に出てからも大きく影響してくるらしいのですが、その勉強
が読書であると言っています。

大学での読書量がその後の年収と比例関係にあると、しっかりと
データとして示しているのには驚きました。私はお恥ずかしながら
大学時代はほとんど読書をしなかったのですけど、社会人に
なってからでも決して遅くはないそうです。

やはり学び続けることは重要なんです。

学歴は確かにその後の人生に影響を及ぼす。本書では検証の
結果はっきりと結論づけています。

さて、これをどう捉えるか。

個人を決定するのは学歴だけではない、もちろんそれも確かです。
スポーツや芸術に優れた人もいるし、特技を生かした職業に
付く人だっています。それを否定するつもりはないでしょうし
否定されるものでもありません。

本書の最後に「健全に学歴と向き合う」と言っていますが、
まさにそういうことだと思います。学歴の効用は確かにある
ということを素直に認めた上で、それも一つの要素として
生きていく道を考える、教育を考えてみる。

それが健全な学歴との付き合い方なんだと思います。

選択肢を増やすという意味で読んでみてください。


by なんちゃって読書人
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死刑執行人サンソン

2014年12月25日

死刑執行人サンソン ―国王ルイ十六世の首を刎ねた男 (集英社新書)

『死刑執行人サンソン ―国王ルイ十六世の首を刎ねた男』

著者:安達 正勝
新書: 256ページ
出版社: 集英社 (2003/12/17)
言語: 日本語
ISBN-10: 4087202216
ISBN-13: 978-4087202212
発売日: 2003/12/17
商品パッケージの寸法: 17.2 x 10.6 x 1.4 cm

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■内容(「BOOK」データベースより)

敬虔なカトリック教徒であり、国王を崇敬し、王妃を敬愛していた
シャルル‐アンリ・サンソン。

彼は、代々にわたってパリの死刑執行人を務めたサンソン家四代目の当主
であった。

そして、サンソンが歴史に名を残すことになったのは、他ならぬその国王
と王妃を処刑したことによってだった。

本書は、差別と闘いながらも、処刑において人道的配慮を心がけ、死刑の
是非を自問しつつ、フランス革命という世界史的激動の時代を生きた男の
数奇な生涯を描くものであり、当時の処刑の実際からギロチンの発明まで、
驚くべきエピソードの連続は、まさにフランス革命の裏面史といえる。
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■つぶやき

貴族の子は貴族になり、死刑執行人の子は死刑執行人になる。

その当時、そんなヒエラルキーに個人が抗うことはできなかった。

代々死刑執行人を務めた家系の4代目とて生まれた主人公サンソン
ごくごく当然に死刑執行人の人生を歩むことになります。

裁判によって判決がくだされ、それを忠実に実行する一国民で
あるはずのサンソン。

しかし、世間からの風当たりは厳しく、様々な差別をうけ続けます。
子供達は学校にも入れてもらえず、道を歩けば死刑執行人に触れ
ないように皆が避けて通り、呪われてはいけないと、食料品すら
売ってもらえない。

兵士は罪なき人を殺めても人々にもてはやされる、一方死刑執行人は
重い罪を犯した人間を世の中の秩序のために殺める。

であるのにもかかわらず、兵士は英雄ともてはやされ、一方は忌む
べきものとして恐れられ、避けられてしまう。

そんな理不尽な環境の中でも、死刑執行人は世のためになくては
ならない崇高な使命を実行しているのだ、と自分自身に言い聞かせ
どうにか心の平静を保っている。そうでもしなければ心は病み
処刑台に立つことはできない。

社会が成熟し、八つ裂きの刑などのあまりに残虐な刑は廃止
となり、人道的な道具としてギロチンが発明されるが、そのギロチン
が多くの悲劇を生むことにもなってしまいます。

フランス革命が起こり、サンソンは尊敬していた国王ルイ16世
を処刑することになってしまう。サンソンの苦悩は計り知れません。

その昔授業で習ったフランス革命の、華々しさの裏にこれほどの
苦悩と陰惨な歴史があったことを初めて知りました。

合法的死刑は望む、極悪人は処刑されて当たり前、と考える人々。
しかし、それを実行する人間はおぞましく、不浄なるものと考えて
しまう、人間の矛盾する思考。

この世の中の暗い部分、歴史の裏舞台の出来事、そこから目をそらして
はならないと思います。たくさんの血が流れ、私たちが住むこの世の中
が成立している。決して晴れやかな心持ではないけれど、それを知った上
で私たちはどのように振る舞っていかなければならないかを考えなければ
ならないと思います。


by なんちゃって読書人
posted by なんちゃって読書人 at 14:43 | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

紙の月

2014年12月24日

紙の月 (ハルキ文庫)

『紙の月』

著者:角田 光代
文庫: 359ページ
出版社: 角川春樹事務所 (2014/9/13)
言語: 日本語
ISBN-10: 4758438455
ISBN-13: 978-4758438452
発売日: 2014/9/13
商品パッケージの寸法: 15.2 x 10.6 x 1.8 cm

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■内容(「BOOK」データベースより)

ただ好きで、ただ会いたいだけだった。

わかば銀行から契約社員・梅澤梨花(41歳)が1億円を横領した。

正義感の強い彼女がなぜ?

そして―梨花が最後に見つけたものは?!第25回柴田錬三郎賞受賞作。
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■つぶやき

最初はたわいもない、ちょっとした狂いだった。

一旦歯車が狂い出したら止めることはできない。

気付けば1億もの大金を横領し、それをささげた男は去ってしまう。

きっと傍から見れば、何で?と思う方も多いような気します。

そんなことで?

普通、そこまで行く前に踏みとどまるでしょ。

そう感じるのかも・・・。

しかし、自分にも歯止めが利かないくらいにハマり込み、どうにも
ならないくらいに堕ちていく・・。そんな心理が私には分かるような
気がします。

きっと主人公自分自身でもどうしてそうなったかは分からないのだと
思います。誰が私を助けて!そんな心の声が聞こえてくるようです。

そんな心理描写に私自身大いにシンクロしてしまい、主人公梨花と
一緒にダークな心の闇に吸いこまれてしまうところでした。

まあ、共感する方、そうでない方いるとは思いますけど
誰しもがそうなってしまう可能性はあるのかもしれません。

自分だけは大丈夫。そんな人程、確固たるものが薄らいだ
現代のようなリキッドな時代においては危険だと言える
のかも。

本書は現在映画化され上映真っ最中。
観に行きたくてウズウズしてます(笑)




by なんちゃって読書人
posted by なんちゃって読書人 at 21:06 | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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